「オーストラリア」からようこそ

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フジサンタカイネ

 

第14回

 12月初め、暑かったり寒かったりと不安定だった秋が過ぎ、ようやく富士市街から見る富士山の雪景色も落ち着いてきた。白い輪郭が青空に映えるこんな日は『フジサンタカイネ』日和。JR新富士駅で外国人観光客を探して歩いていると、南アジア方面の雰囲気を感じる一行を発見した。まだこのコーナーで登場していない、インド、パキスタン、スリランカ・・・どこの国の人だろうとワクワクしながら、いつもより2割増しの笑顔で接近。ところが、どこから来たのかと訊ねて返ってきた答えはなんと、オーストラリアのシドニー。平静を装う愛想笑いが加わり、正味5割増しの奇妙な笑顔になってしまった。

第14回 フジサンタカイネ1 今回出会ったのはファルハード・カーンさん(60歳)、妻のラハナさん(55歳)、娘のマディーハさん(16 歳)のご家族。インド系の祖先を持ち、南太平洋の国フィジーに住んでいたが、約30年前にオーストラリアに移住したという。最初の予想はあながち間違いでもなかったようだ。カーンさん夫妻には子どもが5人、孫も9人いるそうだが、今回は末っ子のマディーハさんとの3人旅。熱烈な親日家で、マディーハさんは学校で日本語を学んでおり、日本への留学経験もあるという。自宅では語学留学生のホストファミリーをしていて、これまでに6人の日本人留学生を受け入れてきたそうだ。今回来日した目的の一つが、以前マディーハさんとの交換留学でシドニーに来ていた神奈川県の学生に会いに行くことだという。

右上写真:カーンさんご一家。右から夫のファルハードさん、娘のマディーハさん、妻のラハナさん。きっぷ購入の際は紙幣のやり取りに手間取り、「日本のお金はゼロが多くて分かりにくいですね」と苦笑い。

 2週間の日本滞在で、この日はまだ4日目。横浜で2日間過ごして、昨日は富士市内に宿泊。これから路線バスで河口湖へ向かい、翌朝、山梨県側の富士山五合目まで行くという。バスの周遊きっぷを買いたいというので、きっぷ売り場へ案内し、特に頼まれてもいないのに購入の手伝いをする。

 ところがここで思わぬ事態が発生。10分後に出発するバスが、河口湖に行く最終便だった。乗り遅れは許されないため、出発までの時間限定で慌ただしくインタビューすることに。富士山周辺を巡った後は京都や広島へも足を延ばす予定とのことだが、 これまでに感じた日本の印象について訊ねたところ、「日本ではどこに行っても人々が親切で、困っていると必ず誰かが助けてくれます。心から敬意を感じます」と、ベタ褒め。「ヒジャブ」と呼ばれる頭を隠すスカーフを見て気づいてはいたが、ムスリム(イスラム教徒)であるラハナさんは、「日本人が大切にする礼儀、規律、親切、清潔、平和などは本当に素晴らしいと思います。それは私たちムスリムの考え方、目指すものと同じなんです。少しシャイなところも似ていますね」と語ってくれた。

 あっという間に10 分が過ぎ、バスが到着してからもドアが閉まる直前まで笑顔で応じてくれたカーンさんご一家。今後オーストラリアへの留学やホームステイを検討される読者の皆さん、シドニーでのホストファミリーがもしもカーンさんだったら、大当たりです。くれぐれもよろしくお伝えください。

第14回 フジサンタカイネ2
出発直前までしつこく(?)取材。きっぷ売り場のスタッフの方とバスの運転手さん、ご協力ありがとうございました。
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