オーストラリアからようこそ

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フジサンタカイネ

 

第25回

 富士山の登山シーズンを終えたばかりの9月中旬、今回の取材では富士宮市の白糸の滝へ足を運んでみた。周辺の駐車場や遊歩道、観光案内所が再整備されて以降、外国人ツアーの観光コースにもすっかり定着した白糸の滝だが、インタビューをお願いする上でバスの出発時刻などの制約がない個人旅行者を探すとなると、これがけっこう難しい。団体ツアーの証であるワッペンを服やバッグに貼っていない外国人を慎重に見定めること約20分、滝壺の前でじっくりと景色を眺めていた女性二人組に声をかけた。

 ともにオーストラリア・メルボルン出身で、教師のアリーシャさん(32歳)と旅行代理店勤務のアマンダさん(32歳)は学生時代からの親友。二人とも初来日となる今回、2週間の旅程は半分が過ぎたところで、関西国際空港から入国して、大阪・京都・奈良などを訪れたそうだ。前日三島で新幹線を降り、レンタカーで反時計回りに富士山麓をぐるっとドライブしながら、河口湖畔の宿に2泊する予定。この日は朝から温泉を堪能し、ロープウェイで登った展望台では、富士山を背景に最高の写真が撮れたと満足そうだった。その後は鳴沢氷穴を経て白糸の滝へ。公共交通は決して便利とはいえない富士山西麓エリアだが、レンタカーの利点を活かして点在するハイライトを効率的に楽しんでいるようだ。富士山周辺の印象について聞いてみると、「とてもスピリチュアルで、息をのむほど美しい場所ですね」とアリーシャさん。


オーストラリア出身のアリーシャさん(左)とアマンダさん(右)

その他に印象的だったことを尋ねると、京都・嵐山の竹林や千本鳥居で有名な伏見稲荷大社、奈良の東大寺大仏殿などの定番スポットを挙げつつ、「その中でも、京都で着物を着て茶会体験に参加できたことが特に良かったです」と話してくれた。ちなみに、この取材をしたのはラグビーワールドカップの開幕当日。ラグビーが盛んなオーストラリア出身の二人にスタジアムで観戦する予定はあるのかと聞いてみたところ、アマンダさんの答えが素敵だった。「いいえ、直接観戦する予定はありません。でも貴重な機会ですから、この後訪れる東京でスポーツバーを探して、日本との皆さんと一緒に楽しみながら、日本とオーストラリアを両方応援したいと思っています」。

外国人観光客の動向として、いわゆる爆買いに見られるような「モノ消費」から、体験そのものを楽しむ「コト消費」へのシフトが進むといわれているが、二人はまさに後者のタイプ。この他にも、東京都心の公道をゴーカートで走るアトラクション(いわゆる『リアル・マリオカート』)はオーストラリアでも知られていて、ぜひやってみたいとのこと。また、餃子作りの体験講座(餃子は日本食という認識らしい)にもすでに予約を入れているそうで、日本円で約8,800円というなかなかのお値段なのだが、「私たちが大切にしているのは、そこでしかできない体験をすることです」と、深い言葉が返ってきた。異文化に関心を持ち、実際に訪れ、地元の人々とも積極的に関わろうとしてくれる二人の気持ちが嬉しかった。そして同時に、「もしお店で8,800円分の餃子を注文したら、うんざりするほどお腹いっぱいになりますけどね、ははっ」などと小手先のギャグで笑いを取りにいった自分が猛烈に恥ずかしくなった。


着物姿で茶会体験をした際の写真(ご本人より提供)

 


河口湖に近い天上山の展望台で撮ったお気に入りの一枚

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