季節はずれの紅葉

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樹木医が行く!

 

第27回

季節はずれの紅葉

 皆さんはお気づきでしょうか?このコラムを皆さんが読まれる頃、じつは季節はずれの紅葉が起きています。

 この時期、クスノキのような常緑樹の紅葉が最盛期を迎えます。「えっ、常緑樹なのに紅葉?」と思われる方も多いことでしょう。

 11月頃に落葉樹が紅葉し、そして落葉していくことは皆さんご存じかと思います。モミジは赤く、イチョウは黄色に紅葉して、散っていきます。富士市内ではなかなか見ることができませんが、ケヤキも宮城県あたりまで北上すると、モミジに負けないくらい真っ赤に紅葉します。落葉樹は4月から5月頃に葉を出し、11月から12月頃に散っていきます。つまり、葉の寿命は半年くらいです。

 一方、常緑樹はその名の通りいつでも緑色だと思われがちです。しかし、そんな常緑樹も人知れず紅葉、落葉をしているのです。その時期は樹種にもよりますが、おおよそゴールデンウィークから6月頃でしょうか。今年は暖冬だったので、もっと早いかもしれません。

 では、ここで問題です。落葉樹では葉の寿命は半年程度と述べましたが、常緑樹の葉の寿命はどれくらいだと思いますか?

 正解は、1年以上です。長いものでは1枚の葉を数年にわたって大切に使う樹種もあります。皆さんがよく見かけるクロマツでだいたい3年くらいの間、1枚の葉(葉といっても針状ですが)を大切に使います。これぞまさにエコと呼ぶべきでしょうか。

 ちなみに、常緑樹といっても2種類あります。常緑広葉樹と常緑針葉樹です。常緑広葉樹の例としてはクスノキやカシノキ、常緑針葉樹ではクロマツやスギなどが挙げられます。静岡県内では公園、街路樹などでどちらのタイプの常緑樹も見かけることができます。しかし青森県あたりまで北上すると、目にするのは常緑針葉樹のみで常緑広葉樹は見ることができません。寒さに弱い常緑広葉樹に対して、常緑針葉樹は東北・北海道はもちろん、ロシアのシベリア地方でも生えているほど寒さに強いのです。

ということはつまり、この時期に紅葉を楽しめるのは、暖かい静岡県ならではの特権ということになります。そんな温暖な土地に住む皆さん、初夏の日差しに映える紅葉と、風にヒラヒラと舞う落葉の眺めを、存分に楽しんでください。

第27回 樹木医が行く!1紅葉するクスノキ (4月中旬)

樹木医 喜多 智靖(きたともやす)
アイキ樹木メンテナンス株式会社 代表取締役
石川県金沢市出身・富士市在住

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