紅葉(こうよう)って何だろう?

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樹木医が行く!

 

第22回

紅葉(こうよう)って何だろう?

 富士市内では、紅葉(こうよう)の名所として須津川(すどがわ)渓谷をご存知かと思います。こちら、見頃は11月中旬から12月上旬だそうです。このコラムが読まれる頃、紅葉も佳境に入った頃でしょうか。今回は、紅葉について書きたいと思います。

 今、紅葉と書きましたが、実はもう一つ、黄葉(こくよう)という漢字もあります。この違いは赤く色づくか、黄色く色づくかの違いです。そのため両方の言葉とも、秋にキュッと冷え込んで、葉が色づいてくることを指します。このコラムでは一般的に使われることの多い「紅葉」を使いたいと思います。

 では、葉が赤くなる場合と黄色くなる場合の違いは何でしょう?冬が近づき、日照時間が短くなり、気温が下がってくると、光合成効率が下がってきます(光合成とは、太陽光、水、二酸化炭素、そして根から吸収した肥料分を合成して、木が生長に必要な栄養分を作ることをいいます)。そのため、木は店じまいを始めます。つまり、これが冬の落葉です。秋に気温が下がってきて、最低気温が5~10℃くらいまで下がり、しかも昼間は暖かいという日が続くと、葉の色づきが始まります。これは木が店じまいの準備をしている過程で起こる現象です。店じまいを行う時、木は葉を切り離す準備をしながら、葉に残る葉緑素を分解し、貴重なマグネシウムなどのミネラル類を回収します。もったいないの精神ですね!その緑色が消えた時に、葉に残っている色素が赤いものか、黄色いものかで色が決まります。同じ赤でも日光の当たり具合で色合いが変わったりもします。

 おまけをいうと、スギのような常緑樹も秋~冬に紅葉します。冬場、スギの葉が茶色くくすんだような色になっているのを見たことがある方もいるかもしれません。実はこれが紅葉です。しかし、スギなどの場合、春になるとまた葉の色が緑への自然に戻っていきます。ちなみに、2月から5月くらいにかけて、スギ林が赤くなるのは、紅葉とは別物です。花粉シーズン真っ盛りの目印です。花粉症に苦しんでいる方も多いと思います。気が重くなる赤ですね。

 さて、紅葉の代表格であるモミジを例に挙げると、綺麗に紅葉するためには以下のような条件が必要です。

  • 最低気温が8℃以下になること
  • 昼夜の寒暖差が大きい日が続くこと
  • 日光がよく当たっていること
  • 空気中に水(湿気)があること

 夜8℃以下になる寒暖差の激しい日が続くと、木は店じまいの準備をどんどん進めます。つまり、緑色の成分が葉からどんどんなくなっていきます。そして日光が当たることにより、赤い色素がたくさん作られます。そして最後の条件が綺麗な紅葉を長続きさせるために重要なのですが、空気中に湿気が多いことにより、葉をいつもしっとりさせることができます。木は葉を切り離す準備を始めると、もう葉に水を送ることをやめてしまいます。そのため、湿気がないと葉がすぐにカサカサに干からびてしまい、綺麗な紅葉を維持できなくなり、あっという間に落葉してしまいます。

 ここまで話をすると、須津川渓谷がすべての条件を揃えていることがわかりました!さあ!みなさん、今年最後の紅葉狩りに出かけましょう!

第22回 樹木医が行く!須津渓谷橋から見た大棚の滝と渓谷の紅葉

樹木医 喜多 智靖(きたともやす)
アイキ樹木メンテナンス株式会社 代表取締役
石川県金沢市出身・富士市在住

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