ミモザの花に祈りを込めて

産婆の住む街から

第6回

 

3月8日は国連が1975年に制定した「国際女性デー(International Women’s Day)」です。ニューヨークで女性労働者が婦人参政権を求めて行なったデモがその起源だといわれています。

「女性」だけに焦点を当てることや、「男性」「女性」と二分すること自体に異議が唱えられることもあると思いますが、いまだに日本でも女性であるために不利益を被ることが日常にあふれていることは事実です。

連日ワイドショーで女性に対する差別発言が問題になっています。会見での長いやりとりから切り取られた一部分が発言者の真意を示しているかは不明ですが、日々の生活の中で蓄積されている人々の鬱憤が、そこで報じられた言葉によって敏感に反応したのかもしれません。

2020年の男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index: GGI)において、日本は世界153ヵ国中121位という衝撃的な結果でした。健康・教育・政治・経済の4分野のうち、特に政治と経済の順位が影響していたそうです。

とはいえ、男女共同参画という言葉が違和感なく受け止められる時代にもなり、何年か前までは、週末に夫が家にいることに対して、「お昼ごはんの支度が大変」とか「家が片付かない」と不満の声を聞くことが多かったものですが、最近では夫が不在だと「一人で子どもの世話をしなくてはいけなくて不安なんです」と相談されることが増えて、子育て世代の男女間の関係は確実に変わりつつあ ることを実感しています。

一方で、新型コロナウイルス(COVID-19)による社会的な動揺が影響しているのでしょうか、なぜか最近、性的な問題で傷ついた女性のお話を聞く機会が増えています。嫌がっているのにもかかわらず夫に押さえつけられて関係を強要されると震える女性、同級生に卑猥な言葉を言われ追いかけられた高校生、塾で胸を触られた女の子、夫との夫婦生活を望んでいるのに拒否され、淫乱だとののしられた女性、などです。

双方の同意のない性的な行為は、たとえ夫婦でも、言葉だけだとしても、服の上からだとしても、NO!深く傷つけられたことに変わりはありません。また、夫婦の間でさえ互いの性に向き合い自分たちらしい関係について話ができていないことも、日本ならではなのかもしれません。そして相談した相手からの「服の上からだけで良かった」「夜遅くに一人で道を歩かないように」「短いスカートを履いていると危ない」など、被害者を思いやったつもりの発言でさらに傷ついたとも聞きます。被害者に対して、第三者による苦痛を思い出させるような発言や、原因が被害者自身にあったとして被害者を傷つけることを、セカンドレイプと呼びます。被害を予防するための行動と被害の原因とは分けて考える必要があります。

女性に対する暴力や差別は論外ですが、時代の変化の中で、これからは「女性の権利を!」というような戦いの構図ではなく、周囲の人たちに感謝や優しい気持ちを表現しながら、社会の中で性別や理不尽な差別によって苦しんでいる人がいるということを思い出し、助け合いましょうという活動に移行していくのかもしれません。イタリアでは国際女性デーに、愛や幸福の象徴であるミモザを女性に送るのだそうです。富士市でもミモザの花をシンボルに、女性が、そしてすべての人々が、自分らしく生きることができるようにと祈りを込めた活動が始まりました。黄色くかわいらしいミモザの花を見ていると、ほっこり優しい気持ちになれそうです。

ミモザのリース

堀田久美

ほった くみ
菜桜助産所代表 助産師・保健学博士

富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。

菜桜助産所
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訪問看護ステーション菜桜
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