ソメイヨシノは嫌われもの?

富士市・岩本山公園の桜並木

富士市・岩本山公園の桜並木

樹木医が行く! 第13回

今年もソメイヨシノが咲く季節となりました。知っていますか?日本中に植えられているソメイヨシノの遺伝子は全て同じということを。

日本中にあるソメイヨシノは「クローン」です。同じ遺伝子なのです。それゆえに一斉に咲き、一斉に散ります。また、桜の開花予報や桜前線の北上という現象をより精密に把握することが可能となります。これはソメイヨシノの花見を楽しみたい私たちとしては、とても嬉しい特性といえます。

しかし、困った面もあります。同じ遺伝子であるがゆえに、同じ病害虫に弱いのです。毛虫は1年間に3~4回発生します。木を弱らせる病気も一律に全国各地で見られ、問題となっています。また、ソメイヨシノの寿命は80年くらいといわれていて、一斉に植栽した桜並木は一斉に枯れるかもしれません。

桜並木に人々が集うのは、花見に適した1週間ほどです。逆にいうと、1年365日のうち350日以上、人々は桜並木に見向きもしません。その間、お膝元では、どちらかというとソメイヨシノは嫌われています。なぜか?先に述べたように、年に何度も毛虫が発生することが大きな理由です。しかもクローンの木なので、一律に大量に発生します。これではたしかに嫌がられます。

私は職業柄、いろいろなところでソメイヨシノの桜並木を伐採したいという話を聞きます。伐採に賛成なのは、並木を抱える地元の人々。伐採に反対するのは、年に1回通りすがりに花見を楽しむ広範囲の地域の人々です。

日本人は桜が大好きです。そんな大好きな相手に対して、「実はあなた、嫌われてる?」という考えが思い浮かばないようにしたいですよね。ソメイヨシノとのうまい付き合い方を、そろそろ考える時期に来ているのかもしれません。

喜多智康プロフィール

喜多 智靖

樹木医
アイキ樹木メンテナンス株式会社 代表取締役
弱った木の診断調査・治療に加え、樹木の予防検診サービス『樹木ドック』を展開中。NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』では、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県石巻市での除塩作業や学校における環境教育授業を継続中。
喜多さんのブログ『樹木医!目指して!』
アイキ樹木メンテナンス株式会社
NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』 

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