被災地で富士宮の高校生とともに

樹木医が行く! 第10回

私は東日本大震災の1年後よりこれまで、宮城県石巻市に通ってきました。これは津波による海水の流入で発生した土壌の塩害によって枯れていく木々を何とかしたいという思いからでした。そんな被災地で富士宮市の富岳館高校農業クラブの生徒たちが塩害について研究活動を行っています。今回はその高校生たちについて書きたいと思います。

これまでにも被災地で一緒に活動をしたことがある高校生たちですが、現在、被災地である東松島市(石巻市のお隣)にて、富岳館高校の生徒たちは、京都の桂高校と共同で芝の研究活動を行っています。その芝は宮城県在来の野芝で、海水に負けない、鹿に負けないなどの驚異的な特性を持っています。桂高校はこれまでもずっと芝についての研究を続けてきた学校です。そこに富岳館高校で研究を続けている耐乾性、耐塩性をアップさせる物質を加えて、芝の環境適応能力をさらに高めようという取り組みです。

今回、芝の試験地での活動に初めて同行することができました。まず桂高校の先生からこの芝の特性についてお聞きして驚き、さらにこの日行っていた試験について知り、もっと驚きました。ここでは芝の試験地を3つに分けていました。

    1. 海より汲んできたとんでもない量の海水を芝に全面撒布した区画
    2. 強制的にとんでもない量の塩分(固形)を全面散布した区画
    3. 何もしていない区画

これまで塩害と格闘してきた私としても、試験の行方が本当に気になります。来年、芝が一体どうなっているのか?枯れないのか?富岳館高校が研究している物質がどれくらいの威力を発揮するのか?来年が待ち遠しいです。こんな大胆な試験を思いつき、実行している高校生たちが凄いな!と思った瞬間でもありました。

被災地でがんばっている高校生が身近にいることを知ってもらいたく、今回のコラムにて紹介させていただきました。ぜひ皆さんも応援してあげてください。

芝に海水を散布する様子

芝に海水を散布する様子

喜多智康プロフィール

喜多 智靖

樹木医
アイキ樹木メンテナンス株式会社 代表取締役
弱った木の診断調査・治療に加え、樹木の予防検診サービス『樹木ドック』を展開中。NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』では、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県石巻市での除塩作業や学校における環境教育授業を継続中。
喜多さんのブログ『樹木医!目指して!』
アイキ樹木メンテナンス株式会社
NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』 

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