モノものがたり(6)/便利サービス 市川寿雄さんの対応力

「こうしてほしい」に応える

素人には難しいエアコンの取り付けや掃除、年々溜まってしまう不要品の片付け、長年の汚れが気になる 水回りの掃除……こういった暮らしの困ったことをどこに頼んでよいのか分からず、結局ほったらかしにしてしまう、そんなことはないだろうか。県東部で活躍する富士市のなんでも屋さん『便利サービス』は、お客さんのニーズに合わせてさまざまな依頼に応えてくれる。代表の市川寿雄さんに、具体的にどんな仕事を請け負っているのか伺った。

便利サービス 代表・市川寿雄さん

「窓拭きやキッチン、水回り、高い場所の掃除や床のワックスがけなど、高齢になって今まで自分でやってきたことをするのが難しくなったと、年末などに大掃除の依頼をくださる方が多いです。春は引越しのサービス、夏にかけては草刈りの依頼が多いですね。あと、犬の散歩などペットの世話もあります。」

依頼を受けているサービスの一つに、コンサートのための楽器の運搬や録音がある。市川さんは、学生の頃は吹奏楽部に所属し、サラリーマン時代は楽器販売の会社に勤務。現在は吹奏楽団に三つ所属している。繊細な楽器の扱いに長けている市川さんを頼って、演奏会のたびに楽器運搬の依頼をする奏者のお客さんもいるそうだ。

便利屋という仕事を選んだきっかけは、独立を思い立った時、さまざまなフランチャイズチェーンについて研究したことだった。

「ハウスクリーニングやエアコンクリーニングなど、それぞれ専門の業種がありましたが、どれも特化しすぎていて本当に十分なニーズがあるのかどうか定かではありませんでした。どうせならいろいろなサービスを幅広く提供してお客さんのニーズに柔軟に応えたいと思い、とある便利屋のフランチャイズに加盟しました。」

お客さんからは日々、さまざまな問い合わせが来る。加盟店としてひと通りサービスができるように本部の研修を受けたが、最初はできるかどうか分からない案件も多かった。それでも依頼を受け、やり方を調べ、道具を揃え、実践をしながらできる仕事を増やしていった。多くの経験を積み、フランチャイズから独立した現在は、専門職の道具も多く駆使して高いレベルの仕事を行なう。

1996年に開業し、今年で25年目となる。自身の事業を定義するとしたら?という質問に、「お客さんの“こうしてほしい”を提供することです」と市川さんは答えた。

お客さんからの電話は「どこに頼んで良いのか分からないんです。やってもらえますか?」という切実な質問から始まるという。長年の経験から自分が応えられる範囲を見極めて、受けた仕事を全うする。依頼の多くは、草刈りや部屋の片付けなどのような地道な作業が多い。便利サービスは、手付かずとなって止まっている物事の時を進める仕事ともいえるだろう。

取材後、家で大きな家具を少し横へずらそうと一人で押してもびくともしない。こういうことも頼めるかな……と便利サービスを思い浮かべた。暮らしの中で困ったことがあった時、相談できるところがあるというのは、安心できる。


 (ライター/針ヶ谷あす香)


便利サービス
富士市島田町1-94
TEL: 0120-190-441
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